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法定後見Legal

法定後見

未成年後見

「未成年後見人」とは

未成年者が、契約等の法律行為をするには、法定代理人の同意を得なければなりません(民法5条1項・2項)。これは、まだ判断能力の未熟な未成年者を保護するためのルールです。

未成年者に親権者がいるときは、親権者が未成年者の法定代理人となります。親権者(父母や養親)がいないときや、いても管理権を持たないときには、法定代理人がいなくなってしまい、未成年者の保護に欠けることになります。このようなときに、未成年者の法定代理人となるのが、未成年後見人です。

未成年後見人の権限

未成年者のために、未成年者を監護養育したり、未成年者の財産を管理したり、契約等の法律行為を行う権限があります。この権限は、「親権」と同じく、未成年者の利益のために行使する義務を負うものです(民法820条)。

未成年後見人のつけ方

親権を最後に行う人は、「遺言」で、自分が亡くなった後の未成年者の未成年後見人を指定することができます(民法839条)。
未成年後見人を指定する遺言がない場合に未成年後見人を選任するためには、家庭裁判所に未成年後見人の選任を請求しなければなりません。この請求を受けて、家庭裁判所は審判で未成年後見人を選任します。
未成年後見人選任の請求ができるのは、未成年者本人、未成年者の親族、その他利害関係人(以上、民法840条1項)、児童相談所長(児童福祉法33条の8)です。

未成年後見人に選任されたら、どのようなことをするの?

未成年後見人に選任されたときには、10日以内に「戸籍」の届出をする必要があります(戸籍法81条)。
そして、選任後1カ月以内に未成年者の財産を調査して財産目録を作成し、未成年者の毎年の収支予定を策定して家庭裁判所に提出します。その後も、定期的に(少なくとも年に1回くらい)、財産の現状と前回報告以降に行った後見業務の報告書の提出が求められます。
未成年者が20歳になると、未成年後見人の法定代理人としての任務は終了します。

成年後見

利用のメリット

  • 判断能力を失っても、後見人がご本人の生活環境を整え、財産をしっかりと守ります。
  • 悪徳商法などによる、ご本人に対する押し付け販売や詐欺的契約は、後見人が「取消権」を行使して契約を解除することができます。
  • 後見人は法律上の正規の代理人として、ご本人に代わって金融機関などとの取引を円滑に進めます。
  • 後見人には、ご本人の財産の収支を家庭裁判所に報告する義務があり、お金の流れについての正確な記録が残ります

利用の際の留意点

  • 弁護士、医師、税理士などの仕事ができなくなります(保佐・後見の場合)。
  • 法人の役員や公務員の仕事を続けることができなくなることもあります(保佐・後見の場合)。
    (注)上記はいずれも補助については適用されません

活用のポイント

  • 認知症や知的・精神障がいなどで、すでに「判断能力が低下している」方のための制度です。
  • 手続きは、ご本人が実際に居住する地域の家庭裁判所で行ないます。
  • 「後見」「保佐」「補助」の区分による権限の違いなどを、事前に確認することも重要です。
  • 手続き(申立)ができるのはご本人、親族(申立人は四親等内の親族)にあたる人などです。
  • 手続きをする親族がいない場合には、市長、町長などが手続きをします。
  • 親族で「後見人にふさわしい人」がいれば、「後見人候補者」として申請できます。
  • 株式会社、NPO法人、弁護士、司法書士、社会福祉士などの第三者に後見人を依頼することもできます。
  • 親族と法人の組み合わせなど、複数の後見人候補者を申請することも可能です。
  • 「後見人とするかどうか」は、家庭裁判所がその人の適格性を見極めて判断します。
  • 手続きから家庭裁判所が後見人を決定するまでには、およそ1~2ヶ月かかります。
  • 手続きにかかる費用は、原則として手続きを行なう人(申立人)の負担となります
  • 後見人を監督する後見監督人が選ばれることもあります。

後見類型

法定後見制度には「後見」「保佐」「補助」の三つの区分があり、ご本人の判断能力低下の程度により、それぞれが適用されます。それぞれに対応して「後見人」「保佐人」「補助人」が選任され、ご本人の生活を支えます。次の図で、その関係を確認しておきましょう。

後見人に等に与えられる権限

成年後見

区分 後見 保佐 補助
本人の状態 判断能力がほとんどなく、日常的な買い物もできず、常に介護が必要 判断能力がかなり低下し、日常の買い物はできるが、財産の管理は困難 判断能力が低下し、複雑な契約などにはサポートが必要
手続きする人 四親等以内の親族・本人 市町村長 四親等以内の親族・本人 市町村長 四親等以内の親族・本人 市町村長
支援する人 後見人 保佐人 補助人
支援される人 被後見人 被保佐人 被補助人
本人の同意(手続きのとき) 不要 不要 必要
与えられる権限 全面的な代理権、全面的な取消権、日常生活の行為は除く 限定的な代理権、※重要な財産行為についての同意権、取消権、権限内容の追加が可能 さらに限定的な代理権、限定された特定の同意権、取消権、権限、内容の選択が可能
本人の同意(権限付与について) すべて不要 代理権には必要、同意権・取消権は不要、追加した権限には必要 代理権、同意権、取消権のすべてに必要

重要な財産行為とは(同意権・取消権)

  1. 貸した土地、建物、お金を返してもらったり、それらを他人に貸したり預けたりすること
  2. お金を借りたり、他人の保証人になること
  3. 不動産や高価な財産を売り買いしたり、貸したり、担保をつけるなどすること
  4. 訴訟を起こしたり、訴訟を取り下げたりすること
  5. 贈与、和解をしたり、仲裁契約をすること
  6. 相続を承認、放棄したり、遺産分割をすること
  7. 贈与や遺贈を断ったり、何か負担をすることを条件とした贈与や遺贈を受けることを承諾すること
  8. 新築、改築、増築、大修繕の契約をすること
  9. 宅地は5年以上、建物は3年以上、動産は半年以上にわたって、賃貸借の契約をすること

同意権・取消権とは

ご本人が行なった商品購入やサービス契約、住宅のリフォーム、保険の契約などの内容を確認し、問題がなければ同意をする権限です。
詐欺的商法による契約はもちろん、ご本人が行なった「不必要な高額商品の購入」や「不利益や損失をもたらす取引や契約」などを取り消す権限です。

  • 例)悪徳商法に騙されたことがあるので、ご本人が行なった20万円以上の取引について、同意または取り消す権限
  • 例)他人の保証人になって過去に失敗しているので、保証などを行なうことについて、同意または取り消す権限

代理権とは

介護サービス、医療、施設入居、金融機関(銀行・保険・証券など)との取引などの契約を、ご本人に代わって行なう法律上の権限です。
生活費の送金、物品の購入、遺産相続手続、行政手続なども行なうことができます。
ご本人の預貯金通帳、キャッシュカード、不動産、保険、債券などの財産や実印、権利証、その他の重要書類を預かって管理し、必要に応じてそれらを処分する権限も含まれます。

  • 例)物忘れで預金通帳や印鑑をたびたび紛失しているので、年金が振り込まれる銀行の通帳だけを管理し、出金などを代行する権限
  • 例)有料老人ホームの入居一時金を作るため、ご本人が所有する不動産の売却を代理で行なう権限

留意点

「法定後見」の後見人、保佐人、補助人が行使できる権限の範囲は、法務局が発行する「成年後見登記事項証明書」に記載されます。
「任意後見」の後見人が行使できる代理権の範囲は、任意後見契約公正証書の代理権目録に記載されています。
後見人の権限や仕事の進め方に不明な点があるときは、家庭裁判所や任意後見監督人に確認し、その指示や助言に従うことが大切です。

手続きの流れ(後見・保佐・補助の開始)

1
事前に日時を予約した上、家庭裁判所に出向いて申請書類一式を提出します。
2
家裁にて申立人、ご本人、後見人候補者への面接調査が実施されます。
3
必要な場合、家裁がご本人の精神状態、判断能力について医学鑑定を実施します。
4
家裁は、家族・親族などへの照会、調査を行なった上で、後見人を選任します。
5
申立人、後見人へ「決定(審判)の通知書」が送られ、その内容は法務局に登記されます。
6
後見人は仕事を開始し、ご本人の財産目録などを作成して指定日までに家裁へ提出します。
7
後見人は、定期的にご本人の生活・財産の状況などを家裁に報告します。

成年後見申立に必要な書類

提出書類 備考
戸籍謄本・住民票(本人) 市区町村役場で入手
申立書・申立の趣旨 関係者の住所、氏名、後見申立の理由などを記入
ご本人についての照会書 経歴、財産状況、月間の収入・支出状況を記入
親族関係図 本人の父母、配偶者、子、兄弟姉妹などを記入
診断書(成年後見専用のもの) 主治医、「物忘れ外来」病院などに作成依頼、入手
登記されていないことの証明書 法務局で入手
戸籍謄本(申立人) 市区町村役場で入手
財産の裏付けとなる資料 不動産登記簿謄本、預貯金通帳・証書、保険証券、株式・投信報告書など
収入・支出に関する資料 年金額通知書、介護認定通知書、障害者手帳、固定資産税、所得税・住民税、施設・医療費領収書など
後見人候補者についての照会書 家族、財産状況、後見の方針などを記入
住民票(後見人候補者) 市区町村役場で入手(本籍表示のある住民票が必要)

[ご注意]

  • 各地の家裁によって、提出書類の書式・内容、必要な添付資料などが異なります。
  • ご本人の住居地の家裁に申立書類セットを請求・入手し、内容をよく確認してください。

成年後見制度の利用にかかる費用(概算額)

項目 金額 備考
後見申立手続 9,000円 印紙、切手で家裁に納付
医師の診断書 5,000円~10,000円 家裁所定のフォームがあります
後見人報酬(月額) 5,000円~50,000円 第三者後見人の場合(推定額)
後見監督人報酬(月額) 3,500円~35,000円 家裁が選任する場合のみ(推定額)

※その他、家裁が必要とした場合、別途医学鑑定費用がかかります。(50,000~100,000円)

法定後見にかかる費用の留意点

  • 後見申立手続費用や医学鑑定費用は、原則として申請手続をする人の負担となります。
    また、原則として、後見人および後見監督人の報酬、後見活動に必要な実費(公的証明書の手数料、交通費など)は、すべてご本人の財産から支出されます。
  • 保佐人・補助人に個別の取消権、代理権を付与する場合、または、複数の後見人を付ける場合には、申立費用が数千円加算されます。
  • 医学鑑定は、後見、保佐の申立の場合に、ご本人の判断能力の程度を確認するために家裁が必要に応じて実施するものです(補助は対象外)。
  • 後見人の報酬額は、ご本人の財産の状況と後見人が行なった仕事の難易度などを勘案して家庭裁判所が決定します。
  • 家庭裁判所の承認がなければ、後見人は報酬の支払いを受けることができません。
  • 資力の少ない方は、後見申立費用、後見人の報酬について、公的助成を受けられる場合があります。